文化科学高等研究院出版局(ehescbook.com)の書籍を紹介するページです。
 トップページ >> 書籍紹介 >>概念芸術の地平



2013年9月30日発売 
711頁(A5版) 
定価:本体6,800円+税 

(限定300部)




 ハイデカーの《時熟》と《脱自》の概念が、外的な〈実存〉と内的な〈構造〉を個人に促す西欧性の臨界点にあるものであるという認識から観て、山本哲士『哲学する日本』は、これらが解体していく揺らぎを、〈実存〉においては、「分離」が「非分離」に、「自己」が「非自己」に揺らぎ、〈構造〉においては、「場」が「場所」に、「主語性」が「述語性」に揺らいでいる、と捉え〈論〉をすすめている、とわたしはみなす。西欧の主体化に潜んでいる知・真理・権力の背景には、「主語性」を絶対とする西欧語固有の慣習があり、日本語固有の「述語性」の慣習と正反対の〈構造〉を成している。この日本語の「述語性」の無意識にこそ、近世日本、明治日本、近代日本の文化の特性の総体が潜んでいるとして、『述語制』なる概念を提出し、そこから逆に西欧文化を解き明かす視点が提出された。わたしたち美術家も、明治以後の西欧の思考に晒されながら、主語性の言語中心主義に馴らされ、造形活動の美術と思考活動の言語が背反する中で、美術家は思考停止を余儀なくされ、トリックスターと呼ばれるピエロを演じるプレイヤーに祭り上げられ疎外されている。しかしそれでは社会的な余興以上のものではなく、消費されそして消えさるものでしかない。芸術行為を、「非自己」「非分離」「場所」「述語制」とすることで、視覚・聴覚・触覚に開かれた真の身体中心のマルチメディア表現を構想することができる。そして、河北秀也デザインは、それを実行しえている稀有な創造行為である。芸術・アートと哲学とを根元からとらえなおすコンセプチュアル・アートを開く可能性を、わたしは3・11以降格闘し探究して来た、その固有の体系化へのエチュードである。
 書籍内容
▼まえがき/時熟と脱自

▼レクチュールレッスン01 非分離 I
 予備的考察
  精確90度

▼レクチュールレッスン02 非分離 II
 季節の無意識と理性の初春
  草原の野武士たち

▼レクチュールレッスン03 非分離 III
 ことばを歩く
  がんばろう日本/やっと会えたな

▼レクチュールレッスン04 非分離IV
 ことばを歩く=2
  イリイチ/日本近世思想家

▼レクチュールレッスン05 場所 I
 季節の襞(ひだ)と皺(しわ)
  幻想/権力/国家

▼レクチュールレッスン06 非自己I
 非自己の視線/浸透と緊張 芸大講義ノート1
  映画の粒子/野生の波形

▼レクチュールレッスン07 非自己II
 反マテシスの映画と非タクシノミアの現代芸術
  ゴダール/デュシャン

▼レクチュールレッスン08 場所
 場所という作者/射影と映像 芸大講義ノート2
  村上春樹/河北秀也

▼レクチュールレッスン09 非分離V
 未来デザインの哲学へ 芸大講義ノート3
  河北=デザイン/山本=哲学

▼レクチュールレッスン10 非分離VI
 模写と反復
  考えるギリシア西欧/思うアジア日本
 
▼レクチュールレッスン11 述語性I
 レディメイド、アンフラマンス、触覚の世界
  マルセル/光太郎

▼レクチュールレッスン12 述語性II
 述語性による象徴界の動態化 1
  マネと泉/若沖と枯山水

▼レクチュールレッスン13 述語性III
 述語性による象徴界の動態化 2
  光/音/時/色

▼レクチュールレッスン14 述語性IV
 《情動性》という述語性の想像界
  内臓系/頭脳系

▼レクチュールレッスン15 述語性V
 述語制という超記号学の理論
  松浪信三郎/三上章

▼レクチュールレッスン16 述語性VI
 耳の幻想と眼の闘争、二つの意志
  聴くこと/視えること

▼レクチュールレッスン17 述語性VII
 デッサンという物象化の述語制
  dessein/dessin/西田幾多郎

▼レクチュールレッスン18 非分離VIII
 述語意志による芸術- 伝達への進化
  今西/隆明/武蔵

▼レクチュールレッスン19 場所III
 場所人の「社会彫刻」
  不参/休暇

▼レクチュールレッスン20 場所IV
 空間人の社会彫刻から世界人の公然彫刻へ
  アフリカ的段階の場所

▼レクチュールレッスン21 場所V
 物と場所
  非知の技法/パラ・イメージ

▼レクチュールレッスン22 場所VI
 触覚能としての原- 世界デッサン閾
  マルチイメージ

▼レクチュールレッスン23 場所VII
 普遍デッサン閾の映像と世界デッサン閾の射影
  スペクタクル/ソニマージュ

▼レクチュールレッスン24 場所VIII
 和洋カウボーイの回帰すべき場所
  フロンティア/ピューリタン/プロテスタンティズム

 
▼レクチュールレッスン25 場所IX
 写真術という《対幻想》する想像力
  デペイズマン/デプラスマン

▼レクチュールレッスン26 場所X
 デザインするという聖デザインの場所
  天つ神/国つ神

▼レクチュールレッスン27 非自己III
 非自己という量感
  吉本/フーコー/山本

▼レクチュールレッスン28 非自己IV
 エスとランガージュ
  エロス/タナトス
▼レクチュールレッスン29 非自己V
 異化する非自己
  小林秀雄

▼レクチュールレッスン30 非自己VI
 非自己の大海
  太宰治

▼あとがき
 概念芸術の地平/結語
 概念・イメージ・感性

索引
<書籍紹介トップに戻る>