1986年からデリダのセミナーに出続け、直接にデリダと対話した著者のパリからの交歓録、その哲学言述。
デリダをブルトンとベンヤミンから照らし出しつつ、ハイデガー問題など、パリで蠢く様々な論者たちの模様を描きながら、デリダの横断的・越境的思考を領有する著者の格闘の奇跡が、デリダ思考そのものと並走するダイナミックな交通史。普遍的に思考するデリダのスタイルに啓発され刺激を受け続けながら、同時にデリダの限界をも感知しながら、新たな思考の地平を、フランス語と日本語との間で開いていく著者の原点は、現代思想の根元を見直すものとして作用している。パリで暮らし生きつづける著者の渾身の思索。
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