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 トップページ >> 書籍紹介 >>知のアルシーヴ II- 31周年記念号



2017年7月発売 
128頁 
定価:1,500円(税別) 





 「知のアルシーヴ」の日本版である。白川静、坪井洋文、谷川健一という大学者の方々をとりあげている。加えて、藤井貞和、吉本隆明の両氏を入れたかったのだが、紙面が足らず断念した。1986年の本誌の発刊から、数年間は本誌が基軸・基盤にしていく指標となるものを探し当てていた。プラチック=実際行為の場所存在、自分の思考を規定している言語プラチック、その洋の東西から、理論概念指標となる研究の質を先達からいかにひきつぐかを、模索していた。そこでこちらが選択した、偉大な考証をなしていた方々は、気さくに対応してくださった。超領域の専門水準を開いていく可能条件を、領有していくことであった。
 基本は、ナショナルな統合の一元制に日本はないこと、多様な場所文化の多言存在が文化資本となって、国家資本へ構成されたり排斥されたりしている、そこを見定めていくには、規準軸をしっかりと持たねばならない。すでに意味されたものの精緻化を進めるだけで、意味するものの作用の創出をなさない既存の大学アカデミズムでは、それがなされていないゆえ、対象となる方たちは限られていたが、対象それ自体は未踏で無限に広がっている、そこへの規準軸の地盤布置である。この五氏は、世界線で日本文化が働きうる普遍的な志向性を十分に深みで持っておられる。本誌が核としてすえた偉大なる思考者であられる。民俗・人類学と精神分析と文学を指標に、社会科学・人文科学の理論成果を重ね合わせていくことであった。
 20年後、本誌は、その間の場所、資本、ホスピタリティの検証を経て、日本文化プラチックの非分離、述語制、場所、非自己の原理をさぐり当てていくのだが、非自己においては精神分析と太宰治の文学とを経て見出されたものだ。西田哲学や武術、そしてカラー頁での伝統文化技術などの検証が、なされてのことだ。ただの雑誌編集者ではない、世界を知的に歩くということも含めての探求であり、日本から世界を観る、世界から日本を観ることの相互変容から、言説生産への多角的な方々の登場がなされていくことになった。知のフィールド研究である。それは、パリの社会科学高等研究院の諸メンバーとの交通から、文献・理論考察もフィールド研究だという示唆からなされたことである。凡庸な経験的実証はやっていない。例えば、岡本哲志氏のような徹底した場所フィールドを掲載してきた。
 30年前とは、まだ壮年期である。こちらはもう老人の閾へと入ってはいるが、本誌の成熟期へ向けて、文化のさらなる根元へと突き進む。それは「歴史を作っていく」段階への歩みになろう。

 書籍内容
▼〈坪井民俗学の世界〉ハレとケの民俗学 坪井洋文

▼ 青の地名をたずねて〈谷川民俗学のエッセンス〉 谷川健一

▼ 漢字の思考 白川静

【連載7】
「格」作業と「結び」作業の協働 浅利誠

【カラー特集】
山のくらしと手仕事
山形県の鶴岡に残る山の文化としごと

【iichiko note】
寿司の天ぷらの場所 河北秀也
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