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 トップページ >> 書籍紹介 >>知のアルシーヴ I- 31周年記念号



2017年4月発売 
128頁 
定価:1,500円(税別) 





 30年という月日は、あきらかになんらかの文化蓄積がなされているといえよう。
 本誌は、物事の本質をさぐりながら世界の最先端の論者たちをふまえた新たな言説生産の水準を、彼らの直接参加と協働のもとで開いてきた。そして、カラー頁では主に「日本の文化技術」の実際を探りながら「日本の論理・哲学技術」を探りあってきた。大きくは「資本と場所」の世界、「ホスピタリティ」環境の述語的可能閾を開いてきた。これらは、文化、経済、環境、技術、政治への世の役に立つ指標となるものを、既存の日本の文化資本市場とは異なる先導性としてなしたものであって、専門主義へとじられない「超領域的専門」の研究生産の地平であり、パリ、ロンドン、ジュネーブ、ニューヨーク、トロント、メキシコ・シティなどでのセミナーや研究会議で実行され、また彼らを招いての東京研究会議でなされてきたものである。「知のアルシーヴ」としてとくに初期のものを選択して供する。それらは古くないどころかいまだにその指針となりえている。本誌はただの原稿編集ではない、ビビッドにアクチャルに「知の力」を領有し形成できる研究活動と文化生産の諸関係を同時的に開いてきた。「文化学」という学問を構築することではなく、〈文化学〉がツールとして活用しうるようになる界閾をプラチック=実際的に開いていくことに焦点をおきつづけている。思考技術や認知・知覚構造の変容である。真の文化がすべての土台であるからだ。
 経済的経済の貨幣的最大化利潤のみを追求する経済は、経済本性にたいする誤認体系であるゆえ確実に崩壊する。「非利益の利益」を、官僚的に編制するのとは逆に、個々の「プライベートな」活力をパブリックに活かすアクションへと開いていくことだ。また、主客分離の科学技術は、便利さの見返りに環境を破壊させてしまう。近代の可能条件と限界条件を適確に批判継承していかないと、未来は開けない。その大きな転換のただ中で、本誌の考証のなかから見いだされた日本文化の非分離・述語制・場所・非自己の文化遺産は、世界の指針となっていけるものであるのは、まちがいない、本誌の30年がつかみとった明証な遺産である。それは、歴史過程のなかでまた現在の場所の中で、他の可能条件をもっていたものであり、それを把捉しうる概念スキームの言語資本が、ここで再集約したもののなかに初発からある。彼らは、西欧近代の境界に直面しての思考・考証をなし表現してきた卓越した人たちであるからだ。
 まだ、幼かったまた生まれてもいなかった人たちが、本誌の読者になってきている、その方たちに改めて開示することも兼ね、その「知のアルシーヴ」を振り返り、さらにこれらを地盤として新たな水準地平から、歴史と文化をいかす界閾を創造していこうと考える。
 書籍内容
▼詩と哲学と愛 オクタビオ・パス
西欧と東洋のはざまでメヒコに機関しつづけるパスが語る

▼『迷路の中の将軍を語る』 ガブリエル・ガルシア=マルケス
ガルシア=マルケスはボリーバルを戦場へと送り帰した

▼ナウアの身体宇宙論 アルフレッド・ロペス・アウスティン
人体宇宙はヘソを中心に二分されている

▼プラチック・歴史・時間をめぐる対話 ピエール・ブルデュー

▼文化史の再定義 ロジェ・シャルチェ
プラチック・表象・領有

▼ウィトゲンシュタイン、近代性と近代主義 ジャック・ブーヴレス

▼知のアルシーヴを開く 山本哲士

【連載6】
佐久間鼎の「切断」あるいは文法論の定礎
浅利誠

【カラー特集】
北欧のサウナ文化

【iichiko note】
煙草が吸える場所
河北秀也
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