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2016年1月発売 
128頁 
定価:1,500円(税別) 





 言語を追究することは、ヒトの存在表出の初源を根源的にさぐることである。それは、種族語、民族語、国家語という形で編制されていく言語の社会的・歴史的な形成の根源へせまっていくもので、一般言語学の閾を普遍言語学へと転移していく作業を要されていく。〈日本語〉を対象にするとき、ナショナルな構成を対象化するだけではなく、言語本質の諸相を対象化していくことも逃してはならないのだが、そのとき国家語・標準語の言語編制と方言とされた場所言語(バナキュラー言語)の形態とを対峙的にとりだしていかねばならない。つまり奈良朝以後、「日本語」として集約されていく言語編成からこぼれおちた、それを述語制のある閾と考えたいのだが、言語形象表出を再考していくことが、大事な視点になってくる。「〜弁」とされて変容を被りながらもいまだに残滓し、語られていることばの多様さである。
そこを、追究したかったのだが、まだまだ考証は途上のようだが、端緒はもうきられている。いつしか、明示していける次元へたどりつきたい。これは、カミやタマの民俗的な幻想表象にも関係し、母と子の心的「ことば」形成にも関係していく。さらに、芸術や技術の「述語的」創出と客観的な物創出とのちがいとしても出現していく。
 本誌は、〈場所〉を追究していくなかで、「述語制」という閾が、主体・客体の分離世界とはちがって、非分離文化の根源として作用していることを発見した。それを〈日本なるもの〉のナショナルな編制をこえて、世界本質的に典型的に表現・具現しえていることを、多様な局面でさぐりはじめている。〈制〉とは、幻想域と物質域とがかさなるところに、象徴的・想像的・現実的な編制がなされている(規範・規則になりえていない規定制)の閾を、語られている・表現されているが、考えられえていないものにおいて示されている制象閾のことだ。この世界の歴史段階は、「述語制」世界と「主語制」世界との相反表出から成り立っているという大きな視座と、個々人の心身表出の分岐とを同時に観ていくことをもって、再把捉されていくであろう。2016年は、本誌発刊30周年、30年かけて、知の地盤変えとなる言説閾の文化基盤へ画定的に辿り着いてきた。〈資本〉〈場所〉〈ホスピタリティ〉〈述語制〉〈非分離〉などの言説・技術閾にさらに、諸概念空間が創造発掘されていくであろう。華麗にして繊細な和田光正氏の金彩ワザは、そのひとつの象徴実在である。その女物を男が身に纏うと心身が飛躍的にトランスする、欲望を超える<享楽>をときはなつことなのだ。
 書籍内容
▼方言の文法構造を体系的に記述する
八亀裕美

▼述語制の表現体系から見る日本語諸方言
日高水穂

▼日・仏二言語間の非対称性を通して見られた日本語文法(連載1)
浅利誠

▼『述語制の日本』理論的設定への批判軸(1)
一般文法の考古学的表象と一般言語学の閾
山本哲士

▼まなざしの歴史(2)
楠元恭治

【自著を語る】
『科学思想史の哲学』
金森修

【カラー特集】文化技術
金彩友禅
金彩師 和田光正の世界

【iichiko note】
外国という場所
河北秀也
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