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2015年1月発売 
128頁 
定価:1,500円(税別) 





 「いま」考えるべきこと、として見解をいろいろと述べてもらいました。
 現代の大転換が指摘されながらも、旧態依然のものごとがはばをきかせて進み続け、一般には表層の見解・意見が述べられているにすぎません。地盤から物事が変化しているのが感じられながら、しかし、何が起きているのかを語りうる思考がまだまだ人々に領有されていないからです。当事者たちが、自分のことがわからなくなっているようにさえ見えます。政治、経済、教育、社会において、何がたいせつなことであるのか、その規準が本質から問われています。言説が変わらないと、現実も変わりえないのは、思考・言語が、現実を作っているからです。そして、可能条件が技術的にも多々創出されているのに、その使い方がずれてしまうのは、既存コードのままで使い方をかんちがいしているためです。それが、商品生産と情報生産のはざまで、種々おきています。「いま」は、歴史的なものが蓄積されている〈いま〉であり、いかなるビジョンをもつかに規制される〈いま〉でもあります。
 産業的なものとして形成されてきた「衣食住」の根源からの見直しは、生活の良き状態のとらえ返しです、そのビジョンと実際の設計の転換です。そこにおいて、日本の文化の見直しは、大きな意味をもっています。明治近代化の150年の「産業化」のプラスの面とマイナスの面とは、半々の状態になってきているのではないでしょうか。日本文化は、欧米の設計原理とは異なるロジックと技術とをもちえています、その普遍力が未来へ向けて見直されることであって、復古ではありません。日本語には、主語が無い、その述語言語の表出力は、非分離・述語制・場所・非自己の原理として、欧米近代の分離・主語制・社会・自己の原理とは異なる普遍力をもっています。哲学・言語を文化的に見直すことから、新たな技術・経済の可能性が開かれてきます、それを支える新たな政治技術もうみだされえます。西欧における知の構造主義的転換に、日本の文化技術の論理・技術は対応しうるものでありかつその先をひらきうる文化遺産として知の可能性をもちえています。
 世界の貧困化・悲惨化は、想像以上のものとして進んでいますが、先進国はそれに対応するかのように滞留しています。近代化・産業化・科学技術化の恩恵の役割が、限界へと突入しているためですが、地殻・天体・気象までふくめた動態構造も大きな変化を物理的に不可避にしています。物理系をふくんでの生命系自体の大転換が起きているといえます。そこに希望有る展望が見いだせないのは、自分の足元自体が「地球」であるということを、どこかで見失っているからです。自分のことば・言語から自分の身体、そして身のまわりの植物・動物・魚・最近まで、大地、天体、宇宙とのかかわりまで、直接に関係していることを、見えない〈もの〉までふくみ、感覚・こころをふくめて、考え、実際行為していく道を開いていくことですが、それは大上段の大袈裟なことではなく、小さなひとつひとつのことへの真摯な関与の仕方を変えていくことに関わっています。商品・社会がつくってきた〈現実性〉は、現実そのものから遊離してしまいました。商品は、本来は、生活環境をつくりだしてきたものです、ですから人々へ受け入れられてきました。〈もの〉を物質的な〈物〉へつくりだし、それを〈商品〉化していたのですが、いまは、〈物〉や〈もの〉を見失って、既存の同じ商品の細分化と再生産しかしていないようにみえます。生活環境を良くする物づくりが、環境経済の基本であり、日本はその技術の先導的な役割を絶対平和のために世界へはたせるのではないでしょうか。それは、もはや文化や場所や環境から分離された技術ではなく、非分離の述語技術による環境の設計です。そのための知の様式を、さらに本誌は深い思考から追究していきます。
 書籍内容
▼山本 理顕 「個人と国家の〈間〉を設計せよ」を語る
▼山本 哲士 いま、考えるべきこと:述語制言語様式の対象化
▼矢野 雅文 情報の存在論から関係論へ
▼琴寄 政人 「子どもの居る場所」「子どもの居場所」
▼山崎 正純 外部の思考・再論
▼中村 三春 相互扶助とユートピア――有島武郎と現代社会
▼岡本 哲志 持続とは、変化とは――三陸の小さな浜での体験を経て
▼内田 隆三 歴史の現在から
▼金谷 武洋 日本語を世界に広め、世界平和に貢献する:モントリオールからのメッセージ
▼松下 和夫 変革の思想としての持続可能な発展と社会的共通資本論
▼阿波 弓夫 ソンブレロはパスの風まかせ
▼金森 修 〈自発的隷従〉の回避へ
▼楠元 恭治 音読のこゑと黙読のゑのあいだの現象学/触読論

【カラー特集】
▼山本 理顕 「個人と国家の〈間〉を設計せよ」を語る

▼【iichiko note】
67歳の場所III 河北 秀也
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