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 トップページ >> 書籍紹介 >>ミハイル・ブルガーコフ PART-2



2009年10月発売 
128頁 
定価:1,500円(税込) 
  




 ミハイル・ブルガーコフ(1891-1940)の笑いは、主要なものの規範性を覆すという笑いの力に、ある暗さのおぞましさがはいりこんでいる、その影の隠れている主要さをも暴きだしてくつがえす、重層的な仕掛けになっているため、あるきまじめさがそこにつきまとう。バフチン的な哄笑にはならない、支配を おとしめるが、しかし、その支配が執拗でしたたかであることも示唆している。一面的な笑いではないのだ。「一つの生命a life」が、問題とされているのではない、「生命ナルモノthe life」それ自体が、つまりGodそのものが問われている。人や動物・植物などへ賜物として与えられた、その十字架そのものが悪魔とともに、言葉を与えられてうごめいているのだ。笑いは、したがって、どこか悲劇的である。人格ある個人という一つの生命は、ほとんど意味をなくされていることで生き語り働いている。
社会的な構築物になる以前の根源が問われている。政治的権威も宗教的権威も、人間的権威も科学的権威も、教えも捻じ曲げられている、それがそのまま影の閾ともども露呈される。それは幻想表出そのものが、ひっくり返されることになる。ここが、ドストエフスキーの人間倫理文学と決定的にちがうところで ある。しかも、ブルガーコフには無意識に鉤止めされるようなものもない。
父の名も母の名もない、カラマーゾフの父もウルスラなる母もいない、観念や無意識という幻想性ではないのだ。人が笑っているその彼方で、太陽が笑っている。
 書籍内容
▼ミハイル・ブルガーコフとグスタフ・マイリンク
 ボリス・ワジモヴィチ・ソコロフ

▼悪循環を打破する

 ミハイル・ブルガーコフの初期作品における円環の時空間 大森雅子

▼【ブルガーコフの作品より】
  ソヴィエト連邦政府への手紙
  天国への階段(実話)
  定まらぬ住まい(天才的市民ポロスーヒンの日記)
  13番地エリピト・労働者コンミューンのアパート
  偽善者達のカバラ

▼反貴族の貴族--ヴィスコンティの映像美学 渡辺淳

▼【連載 第1回】矢野雅文の「非分離の科学」の頁 矢野雅文

▼幻想ブルガーコフ批評狂想曲 山本哲士

▼【カラー特集】BULGAKOVIANA

▼革命の場所 河北秀也
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